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『いちばんおいしいところ』
SIDE :日英



彼は…そうですね、最近の言葉で言うとツンデレです。

ほら、見てください。


目の前にはジョーンズ君とアーサーさん。

いつも二人は一緒、見ていると仲の悪い兄弟の様。


「なんで、キミはいつも反対意見ばかりなんだい?

この案寝ずに考えてきた案なんだよ?」


「お前が寝ようが寝まいが関係ない。

そもそも、議題と合ってねぇだろうが。」


ツンツンツンツン。

アーサーさんの太い眉毛は上がりっぱなしです。

ですが、私は知っています。

明日の会議で、あなたはさりげなくそのレールから外れた案件を線路上に持ち上げてみるのでしょう。

ジョーンズ君の寝ないで頑張った案を無駄にさせないのでしょう?


「おや、菊。

聞いてくれよ、、、、アーサーのやつ頑固なんだ。」


「頑固なものか。だいたいいつもお前はだなぁ、、、」


思わず笑みが零れます。


「菊、、何を笑っているんだい?」


「いえ、、お二人があまりに微笑ましくて。」






翌日、私の目の前には隣同士に座るフランシスさんとアーサーさん。

昔からライバルの二人は今日もケンカ。

イライラとした様子が全体の空気を悪くしていますよ。


「昔からだが、お前とは意見があわねぇ」


「あー…解ってるよ、お兄さん、お前と隣に座ってるのも嫌なくらいだ」


アーサーさん、、眉間に皺がくっきりですよ。




会議が終わり、各国がホテルに戻るころ、開催国である私は家路に向かおうとしました。

そろそろでしょう。

ほら、、、


「菊!!」


「アーサーさん」


振り向くと薔薇の花束を持ったアーサーさんが立っていました。


「こ…これ、、、」


私はアーサーさんから花束を受け取り、そのエメラルドの瞳を見つめました。

いつ見ても見事な美しさです。


「あ、、、あした、午前中に会議が終わるだろ、、、俺夜に帰るから、、、」


「あいている時間、、一緒に観光でもいかがですか?」


ソワソワとしてなかなか次の言葉を言わないものだから、先に言ってしまいました。

アーサーさんは目を丸くして…

それから

ボっと顔を真赤にして大きな声で言いました


「良いのか!!!!」


「ふふふ…良いですよ。アーサーさんお顔が真赤ですよ。」


あぁ、、、

またおいしいところをいただきました。


彼の眉毛は下がりっぱなし。

ツンデレな彼のデレの部分、、、


いつも私がもらってしまうのですよね。


「私って役得ですね。」


「ヤクトク?どういう意味だ?」


「アーサーさんは知らなくていいことですよ。」



皆様、すみません。


彼のいいところすべていただいております。




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